2024年末に設定された、明治安田ゴールド/オール・カントリー株式戦略ファンド【愛称:ゴルカン】についてです。
全世界株式と金を組み合わせるという、なんだか夢のような響きを持つこのファンド。実際どうなのか、王者である「eMAXIS Slim 全世界株式」(通称オルカン)や、低コストで金に投資できる「SBI・iシェアーズ・ゴールド(H無)/サクっと純金(為替ヘッジなし)」と比較しながら、その実態を調査してみたいと思います。
ゴルカン vs オルカン vs SBI・iシェアーズ・ゴールド:設定来パフォーマンスを比較
このグラフを見ると、一瞬「おや?ゴルカン、もしかしてオルカンに勝ってる瞬間もある?」なんて思ってしまうかもしれませんね。
しかし、投資の世界はパフォーマンスだけでは語れません。次に注目すべきは、やはり運用コストです。
コスト比較
ファンドを選ぶ上で、運用コストは長期的なリターンに大きく影響する重要な要素です。
そこで、気になる手数料を比較表にまとめました。
この表を見ると、ゴルカンのコストの高さが際立ちますね。
特に購入時手数料が上限3.30%というのは、最近の低コストファンドの傾向から見るとかなり高めです。
さらに、信託報酬も1.0230%と、SBI・iシェアーズ・ゴールドの約5倍以上。売却時にかかる信託財産留保額も0.30%と設定されています。
「金」という共通の投資対象を持つものの、SBI・iシェアーズ・ゴールド(H無)/サクっと純金(為替ヘッジなし)とゴルカンは、その投資戦略とコスト構造において大きく異なることが明確です。
個人的な見解:それぞれのファンドが向いている人は?
それぞれのファンドについて、私なりの考えを述べてみたいと思います。
SBI・iシェアーズ・ゴールド(H無)/サクっと純金(為替ヘッジなし)
- このファンドは、低コストで純粋に金価格の値動きに連動することを目指す投資家にとって非常に魅力的な選択肢です。
- 全世界株式などのインデックスファンドを含むポートフォリオの一部にゴールドを組み入れたいと考えているなら、このファンドで投資家自身が任意の割合を自由に設定し、必要に応じてリバランスもできる点が大きなメリットと言えるでしょう。
金へのシンプルな投資を求める方には最適です。
明治安田ゴールド/オール・カントリー株式戦略ファンド(ゴルカン)
- 一方、ゴルカンは「全世界株式と金を組み合わせることでリスク分散と安定的なリターンを目指す戦略型ファンド」として設定されています。
異なる値動きをする資産を組み合わせることで、確かにリスク分散を図りながらトータルリターンを目指すというバランス型のコンセプトは理解できます。
ファンド側で株式と金の配分を調整してくれる「戦略ファンド」という点も、一見すると魅力的です。 - しかし、前述したように、現在のところオルカン単独のパフォーマンスに及ばない期間も存在し、そして何よりも信託報酬がかなり高く、さらに購入時手数料や換金時の信託財産留保額といったコストが発生する点が気になります。
- 個人的には、全世界株式と金を組み合わせたいのであれば、それぞれ低コストのファンド(例えばオルカンとSBI・iシェアーズ・ゴールド)を自分で組み合わせて保有する方が、コストを抑えつつ、より柔軟なポートフォリオ運用が可能だと感じます。
まとめ
ゴルカンは、新しいコンセプトを持つファンドとして注目されていますが、そのコスト構造とこれまでのパフォーマンスを総合的に見ると、慎重な検討が必要だと感じます。
投資は自己責任ですが、賢い選択をするためにはファンドのコンセプトのみではなく、実質的なコストや長期的なパフォーマンスを慎重に比較検討することが何よりも大切です。